やる気がでない・何もしたくない
仕事や勉強、家事、あるいは少し動くことすら億劫に感じる、モチベーションが上がらず、何もやりたくないと感じる経験は、誰にでもあるかと思います。少し休んで気力や体力が回復すれば、基本的には心配する必要がありません。
しかし、その状態が何日も続く場合や、毎朝同じような状態が続く場合は、受診が必要です。うつ病などの可能性も考慮した診療を実施します。
ただし、すぐに病気と診断されなくとも、放置すると症状が悪化するリスクが高まります。また、他人から「怠けている」と誤解され、出勤や登校がますます困難になる恐れもあります。気力が湧かず、何もする気が起きないと感じた際は、無理をなさらずに当クリニックにご相談ください。
やる気が出ない、何もしたくなくなる原因
心が疲れている
精神的に疲れている時は、心の健康が悪影響を受けている時です。そのような時、私達は自然と周囲への興味や関心が低下し、心の健康を守ろうとします。
人間関係のストレス
人間関係のストレスも心の疲れを生じます。同時にストレスから逃れようと、やる気が出なくなる、何もしたくなくなることがあります。
睡眠不足・肉体的疲労が続いている
持続的な睡眠不足や肉体的な疲労は、無気力になる要因の1つです。無気力になると仕事や勉強の効率がさらに悪化し、取り戻そうと睡眠時間が削られたり、疲れが溜まったりするという悪循環に陥りやすくなります。
目標・目的を見失う
無職や引きこもりの期間が続く、就職試験に何度も落ちる、やりがいを感じられない仕事をしている時に起こります。また、長い年月をかけて追い求めた目標を達成した結果、燃え尽きてしまうケースもあります。
スマホ依存
スマホ依存は睡眠不足やSNS疲れなどを招き、心身の疲労を溜める要因になります。心身が疲れたままでいると、気力ややる気が低下してしまうことがあります。
栄養不足
栄養バランスが偏ると、食べている量にかかわらず心身に影響を及ぼす場合があります。脳の機能や運動能力、そして気力など精神面にも悪影響を及ぼします。
何もしたくないと思うのは病気のサインかもしれません
何もしたくないという気持ちが持続する場合は、何らかの病気の可能性も考慮する必要があります。
燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)
以前は明確で高いモチベーションを持っていた方が、大きな目標を達成した後や期待していた結果が得られなかった時に、突然、やる気を失ってしまう状態です。医学的にはうつ病の一つと考えられています。
うつ病
主な原因はストレスで、強い気分の落ち込み、意欲や関心の低下、睡眠障害、動作が鈍くなる、食欲の減退や増進、イライラなど、様々な心身の症状を引き起こす疾患です。また、双極性障害におけるうつ状態でも、同じような症状が現れます。
適応障害
ご自身のいる環境とのミスマッチがストレスとなり、抑うつ感や不安感、焦燥感、多汗、めまい、過食や過飲、無断遅刻、欠席、出社拒否、不登校などの症状・問題行動を引き起こす疾患です。ストレスの要因となる環境から離れると症状の改善が期待できますが、現実的にはすぐに離れられず、症状が悪化してしまう方も多いです。
自律神経失調症
ストレスや不規則な生活習慣などによって自律神経のバランスが崩れ、それにより引き起こされる心身の症状の総称です。具体的には、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ、多汗、倦怠感、下痢・便秘、イライラ、不安感、抑うつ気分、意欲の低下などが挙げられます。
認知症
脳の病気や障害によって認知機能が低下する疾患です。誰にでも発症するリスクがあり、実際に65歳以上の約5人に1人が認知症といわれています。主な症状として、同じことを繰り返し尋ねる・話す、注意力の低下、意欲や関心の低下、言語障害、日付や場所を思い出せないなどが挙げられます。
更年期障害
主に45~55歳の女性に発症する疾患で、エストロゲンの減少が原因です。怒りっぽくなる、イライラする、不安感、頭痛、めまい、動悸、息切れ、意欲や関心の低下、多汗、火照りなどの症状が現れます。
慢性疲労症候群
きちんと休養をとっても、日常生活を送ることが難しいほどの疲労感が6カ月以上続いている状態です。具体的な原因ははっきりと分かっていませんが、ストレスやウイルス感染が関与しているとされています。
症状には、疲労感、記憶力や集中力の低下、筋肉痛や関節痛、喉の痛み、リンパ節の腫れや痛み、睡眠障害、低血圧、音や光に対する感覚過敏などが挙げられます。
無気力症候群
無気力症候群は、自分の本業のみ(仕事・勉強・家事など)に対して無気力となる状態です。本業以外のことや休日には充実した時間を送れるため、ご本人や周囲の方が気付けないことが多く、「努力が足りない」「怠け」と勘違いされやすくなります。さらに、批判や叱責を受けると、症状が悪化しやる気をなくすことがあります。
何もしたくない・やる気が出ない時はどうすればいいか
暮らし方を振り返る
バランスの整った食習慣
たんぱく質、炭水化物、脂質を適切に摂取しましょう。フェニルアラニンやチロシンなどの成分を含む食品が、ドーパミンの生成を助け、脳の疲労を回復するのに役立ちます。また、ビタミンB12が豊富な食品も積極的に摂取しましょう。
フェニルアラニンは豆類やナッツ類に、チロシンは納豆や味噌、チーズ、乳製品、バナナに、ビタミンB12はレバーや魚介類に多く含まれています。
質の高い睡眠をとる
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、身体の疲労回復や意欲、記憶力、集中力の向上に必要です。規則正しい生活習慣や適度な運動を心掛けることで、質の高い睡眠を促進しましょう。また、自分に最適な寝具を選ぶ、寝る前のスマートフォンやテレビなどの閲覧を控えることも重要です。
有酸素運動
ジョギングや散歩、自転車、水泳などの有酸素運動は、セロトニンという神経伝達物質の分泌を促進します。セロトニンは精神の安定や脳の活性化に作用します。
休む
心や体が疲れた時は、まずは休んで回復しましょう。ただし、一日中横になるだけではなく、ストレスを感じない範囲で規則正しい生活を送り、仕事や勉強から離れてリラックスして過ごすことが大切です。
誰かと交流する
信頼できる方と気軽におしゃべりすると気持ちが楽になります。やる気がすぐに戻るとは限りませんが、会話することで心が軽くなるでしょう。
また、心療内科・精神科への受診も効果的です。親しい友人と話しにくい話題でも、専門家なら適度な距離感で話せることもよくあります。
自分へのご褒美を用意する
いつもより少し豪華な夕食、休日の遊び、エステ、マッサージ、旅行など、ご褒美を用意することで、モチベーションが高まることがあります。ただし、楽しいことを考えるのも難しい状態や、些細なことに興味を持てない場合は、受診が必要な状態の可能性があります。当クリニックまでご相談ください。
何もしたくないときの受診の目安
「何をやっても楽しくない」「ずっと寝ていたい」など日常的に無気力感が続いている場合は、精神疾患の症状として現れている可能性があります。
下記のような症状で日常生活に影響が出ている場合は、お早めに当クリニックまでご相談ください。
- 結婚や就職など一般的には喜ばしいことが決定した後に無気力感がある
- 休んでいるのに2週間以上無気力感が続く
- 会社に行こうとすると吐き気や動悸に襲われる
- 寝付けない、常に眠りが浅く寝た気がしない
- 身体は休めていても、胸がざわついて心が休まらない
- 食欲が湧かない など